2014年03月20日

シリコンバレーと電気自動車

米国は自動車産業発祥の地であり、人々の車への思い入れは特別なものである。80年代日本の経済的な発展とそれに伴う自動車の輸出により人々の反感を買い、日本車をハンマーで破壊するような映像もTVで流れた。現在はどうなっているのだろうか。日本で話題になっている電気自動車のLeafやMieveは米国ではどの程度受け入られているのだろうか。

米国全体では、電気自動車(EV)の浸透はまだまだであるが、ここシリコンバレー周辺はかなり日常的にEVやHybridの自動車を見かける。多い順に言うと、Prius、Leaf、TeslaとVoltだ。この中で、純粋に電気自動車と呼べるのはLeafとTeslaである。VoltはEVと呼ぶのには微妙なところである。

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Priusは新車だと日本円にして200万円程度から購入できる。
筆者の車もPriusであるが、とにかく数が多い。駐車場でも走行中でも数多くみる。東京や大阪の街中でみるよりもはるかに多い。その次がLeafだ。

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ここ数ヶ月でかなり普通に見かけるようになった。友人の一部にも所有する人が出始めた。もっとも、購入でなく将来のバッテリーの寿命も考えてリースする人が多いようだ。2014年版の値段は正規なもので連邦政府の税金控除を考えれば210万あたりから購入が可能だ。購入価格はPriusとあまり変わらない。筆者がPriusを購入した2010年の段階では、価格はともかくまだあまり市場へ浸透しておらず、Leafではなく数も多く実績のあるPriusを選択した。

今購入を考えるなら、Leafという判断もあり得ると思う。価格の問題は解決しているとしても、問題はやはり航続距離とバッテリーの寿命だ。シリコンバレーのど真ん中にいれば、シリコンバレー内を自分の家とオフィース、また他社を訪問してもせいぜい50kM程度なんで、Leafで十分である。しかし、シリコンバレーとSan Franciscoを往復となるとかなりきつい。もっとも、筆者は最近は途中で電車に乗り換えてSan Franciscoに行くので、ぎりぎりセーフかと思うが、高速道路に沿ったところに必ずしも充電器があるわけではなく、航続距離は心配のたねだ。また、まだLeafが出回り始めて日が浅いので、バッテリーの寿命がどのくらいあるのか、中古車として売却する際の値段などが気になるところである。それなら、リースかとも思う。

TeslaとVoltはどちらを多く見るかというと殆ど変わらない様な感じだ。

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Teslaは完全な電気自動車だ。Leaf同様全くガソリンを使用しない。1,000万円以上するTeslaのRoadsterはたまに見かけるが最近見かけるようになったのは、Model Sだ。これは、700万円程度から購入できて、航続距離も300kM以上だ。まあ、これは筆者の手が届かないので悩むことはない。

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VoltもTesla同様あまり見ないが、たまに見かける。価格は350万円程度だ。これは電気自動車だと主張する人もいれば、Hybridだというひともいる。LeafやTeslaと比較すると電気モーターの他ガソリンエンジンも搭載している。ガソリンエンジンはバッテリーの充電や電気モーターの補佐として使用され、ガソリンエンジンが主に車を実際に動かしてはいない。ガソリンエンジンを搭載していることで、電気自動車ではないとも言えるが、実際の車の運行にガソリンエンジンが関わっていないという点では、電気自動車だという人もいる。しかし、連邦政府もカリフォルニア州政府もLeafほどは税金やその他の特典を与えていない。
電気自動車の基本的情報に興味のある人は、筆者が日経ITProに書いた過去の記事やVoltに特化したブログを参照(英文のみ).
posted by infogreen at 02:35| Comment(0) | ICTとエネルギー

2014年03月18日

米国でインタビューのために専門家の時間を獲得するには

全てのことに専門家になることは不可能だ。エネルギー関連の市場や技術でも同様だ。現状は発表されたものだけでは、本当のところは分からない。最近2つばかり調査プロジェクトを完了した。その際にいかにして専門家の意見を聞いたか、それ以上にどうやって専門家に辿りついたかを述べてみたい。

一番良いのは、親しい友人が専門家の場合だろう。これは先方の都合次第で、かなり無理が利く。もちろん、こちらが親しいと思っていて実はそうでもない場合がある。実際、今回の調査でも絶対に時間をくれると思っていた知り合いにアクセスできなくなってしまった場合もある。これから学べることは、専門家へのアクセスは常に2つ以上の方法を講じることが慣用だ。

その次の問題は必ずしも調査分野に親しい友人がいない場合だろう。もちろん、ある特殊な分野に長年従事していれば、誰か知っている可能性は高いのだが。例えば、筆者の場合以下の分野に興味がある。これらのそれぞれ全てに通じている人はまず居まい。

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次の段階は親しい友人からの紹介で専門家を探す。関連記事やブログなどから、誰が専門家であるかを把握しておくのは当然のことである。これもその専門家と友人との距離が問題だ。今回の調査では、かなりこれに助けられたこともあったが、失敗することも多々あった。人間の距離間を推し量るのはやはり難しい。友人の友人は皆友人という前提は調査に関しては必ずしも当てはまらない。

では、全くコネがないときはどうするか。まず最初にLinkedinに頼った。ここで注意することは、直接Linkedinで繋がっていても実際に会って相互をある程度分かっていないと頼りにはならないことを思い知らされた。もちろん、Linkedinによって助けられたことも多かったことも述べておく。また、特にICT分野に限るかも知れないが、コンタクトはメールに限る。電話番号が分かっても、なんの前触れもなく電話をかけてもまず意味がない。携帯に電話をしても、大抵は留守電となってしまい本人には届かない。もともとのLinkedinによる繋がりは、相互に助け合うという目的であったと理解しているが、実際には多くの繋がりを持つことで、直接の接続というよりも市場や業界の人脈を広く把握できるという利点に重きをおく人が多いと思う。

Linkedinによる直接の接続がない場合どうするか。まずは、Linkedinにより人脈調査をして、今調査したい分野のキーワードでどういった人が専門家なのか、また既に連絡したい専門家がどういった会社に所属しているのかを調べる。会社にもよるが、大体メールのアドレスは名.姓@会社名.comか名のイニシャル.姓@会社名.comである。

更に、付け加えておくと、必ずあるinfo@会社名.comとかPR部門に連絡してもかなりの確立で、返事は受け取れるが、断られることも多い。

一般的に、全く面識のない相手から来たメールに返事をくれる人は稀である。もちろん、メールの内容も難しい。まず、長いメールはNGだ。大体、迷惑メールかも知れないと思って、開けたメールがやたらに長いとその場で、消去されてしまう。では極端に短いとそれもNG。未だにこの辺りのさじ加減は完全に分かったとは言えないが。もちろん、なんらの報酬や利点を得ることなしで協力してくれる人もいる、しかし、一般的にインタビューを受けてくれたり、情報をくれる人には、何か見返りがあった方がうまく行く。報酬を払うことができない筆者は、インタビューに基づく記事を書き一般に発表することで、その会社や個人の宣伝になるということを利用することが多い。更に、可能性を高めるために、バーティカル市場、例えば電力業界、への応用や日本語による発表も使うことがある。また、大もとのクライアントの名前、例えば日本政府、を発表して良い場合などは、概してうまく行く場合がある。

しかし、プライベートの調査で一般に発表することができない場合、これは中々困難である。インタビューされる人がなんの恩恵も感じられない場合、インタビューを受けてくれる人はかなり稀である。

今回の調査では、上の全ての方法を使いかなりの人にインタビューすることが出来た。要はしつこく、駄目だと断定して諦めず、絶対大丈夫だと安心せず、少しの手ががりも駄目もとで探り、芋ずる式にコネを辿ることが必要だ。そして最後にインタビューに応じてくれた人にはLinkedinによって接続をすることもお忘れなく。
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2013年09月22日

リアルタイム・アナリティックスを電力系統へを適用する

筆者の現在の研究の興味は電力系統に対してITと通信(ICT)技術を応用することだ。ICTの進歩・進展は早い。しかし、ICTだけ独立して動くわけではない。ニーズのないところに投資もついてこない。その恩恵は他の分野にも適用されその分野の発展や進歩に貢献されるべきである。

センサー技術の発達で、スマートグリッドに付随する装置や機器に安価だが高機能のセンサーが装着され始めている。それに従って、多くのデータ源から莫大な量のデータがリアルタイムやそうでないペースで生成され、生成されたデータは収集されて解析される。この様な新たなBig Dataの特徴はスピード(velocity)、多種性(variety)、量(volume) (これを3 Vと呼ぶ)で表されるが、今までの relational databases (RDB)では処理出来ない。これが、NoSQLの誕生を招いた。最近参加した NoSQL Now 2013 コンファレンスに関して幾つかブログを書いた。

ここ
ここ
ここ

このコンファレンスでアナリティックスを売りにしている展示会社 を探したが、運よくAcunuという会社を見つけた。 Infochimps 社のJim Kascade 社長をインタビューして以来、アナリティックスの基本を研究し始めた。少しづつ研究するにつれて理解したことはアナリティクスの領域は広く、深く、所謂アナリティクスと一言では言えないことを理解した。今まではデータサイエンス屋さんの話が抽象的で詳細を語らないのを訝っていた。でも、今はなぜ専門家が素人の私に詳細を語りたがらないのかよく分かった。

アナリティックス市場の変遷

Hadoop のアナリティックスはバッチ処理だ。それはそれで結構なことだ。それが向く場所もある。しかし、リアルタイムまたはストリーミング・アナリティックス はどうだろう。この分野は今大きな注目を浴びている。電力業界では、電気の供給を絶やさないため多くのデータ源からのデータをモニターしている。責任の範囲によるが、広い地域または狭い地域の電力の需要と供給のバランスを見る必要がある。どちらにしても、異なった生成頻度、スピードや形式のデータが非同期で飛んでくる。一般的にデータ量が多ければ、多いほどアナリティックスの質が改善される。もちろん、アナリティックスを適用する前に、どのデータが必要か精査するべきだ。最近のCSCによるInfochimpsによる買収がこのことを如実に語っている。

Acunuのアナリティックス
インタビューの前に数分調査をして、インタビューには45分程度費やした。インタビューにはTim Moreton (CTO) と Dai Clegg (VP marketing)の両氏が応じてくれた。

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Tim Moreton氏(左)と Dai Clegg氏

インタビューの後、ブログを書くにはもっと調査 研究の必要を感じた。そのため、インタビューそのものの他、Acunuのドキュメントやその他を参考にしてかなりの時間を費やした。

差別化
全ての会社はその解はユニークであり、競合よりも良いと主張する。では、Acunuの差別化はなんだろう。

全てのアナリティックスはそれぞれユニークだ。リアルタイムの定義同様、ストリーム・ アナリティックスも人によって微妙に定義が異なる。多くの人はこの言葉で多くのことを十把一絡げにしてストリーミング・アナリティックスと使う傾向がある。 Grok Solutions社のようにストリーミング・アナリティックスを提供する会社が数社ある。差別化を精査する情報源としてAcunuのブログが役にたった。もちろん、1つのブログは1つの題目にフォーカスするため、全体を見通せる1つにまとまったホワイトペーパーが望ましい。Timと Dai によればそのうちにそのようなものを用意するとのことだ。

4つの差別化のポイントは:
1. リアルタイムのアナリティックス
2. Cube
3. Cassandra との統合と使い勝手の改善
4. ダッシュ・ボードとアーキテクチャー


リアルタイムのアナリティックス

Acunuはリアルタイム・アナリティックスが差別化の1つであるとはいわなかった。しかし、Acunuがリアルタイムをどのように定義しているのか知るのは有意義だ。Timのブログが良い情報源だ。もちろんハードリアルタイム とは異なる。Timのブログの中でDoug Cutting (Hadoop開発者で、Clouderaのchief architect)の言を引いている:
「コマンドを発して終わるまで、十分座って待てる時間で、終わるまでコーヒーを飲みに行くとか、一晩待たなければならないというものではない。それがリアルタイムだ。」

Acunuのリアルタイムは「API real time」」と呼ばれ、Timの説明では:
Acunuの「API real time」 は運用インテリジェンスとモニタリングのためのものだ。結果はインターアクティブに戻ってくる。大体WebページへのリフレッシュやAPIコールに掛かる通常の遅延程度だ。ストリーミング・アナリティックスは 増加し続け、また持続する。その時点の結果は最新のものだ。それだけではなく、最新のデータは現在までのデータと共にクエリ・解析することができる。 そのため、傾向(trend)、エクセプション、比較などがすぐに検出することができる。

Cube
Acunuの Cube はTimのブログに記述されており、online analytical processing (OLAP) cubeに似通っている。しかし、差異はこのように説明されている。

Acunuのcubeは非常に似通っているが、以下が異なる。新たなデータが到着するたびにインクリメンタルに コンピュートされているので、全てを全部初めからコンピュートしなくても、一度に処理する量は少なくて済む。

Lambda アーキテクチャーでは、 Nathan Marz はアプリとそれがアクセスするデータの間にプリ・コンピュートされたビューを配置した。プリ・コンピュートされたビューがあれば、その時点までに収集されて解析されたデータと共に新たに到着したデータを解析できる。cubeはある時点まで収集されたマルティ次元のデータにある数式を適用した結果を格納している。例えば、単に地域毎や時間毎(週、月、年)で売れた商品の個数の合計などだ。ある時点までの結果は既に存在しているので、新たに到着したデータ(最近の商品の売り上げ個数) は単に加算され、情報が更新される。必要なクエリに応じて、複数のcubes (ビュー)を定義することができる。以下にこの様子を示す。

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処理前のデータがいかにリアルタイムで処理されるか。(出典: Tim MoretonのNoSQL Now 2013コンファレンスでのプリゼンより)

注意
これは、Lambda アーキテクチャを実装する1つの方法で、他にも実装の方法はある。しかし、これはこのアーキテクチャーを理解する上で、具体的な例なので理解に役立つ。

Cassandra のインテグレーション
TimはCassandraをデータベースを選んだ理由を以下のように述べた:
Cassandra はスケーらビリティ、性能、複数のデータセンター間サポート、マルティ・マスターアーキテクチャー(no single point of failure)に秀でている。

しかし、彼は続けた:
例外なく殆どのカスタマーはこのシステムを学ぶ際一番困難なのは、Cassandra のデータ・モデリングだ。

もともとのAPIは, Cassandra クエリ言語(CQL)を使ったとしても、非常に簡単過ぎて、本当に非常に簡単なビルディング・ブロックを提供するだけだ。開発者はデータを読み込むスキーマを作成することが必要だ。もし、新らたな機能のために新らたなデータの読み込みが必要となると、それを変更するのは非常に困難だ。

筆者はCassandra のユーザーでも開発者でもないので、専門的なコメントはできない。しかし、筆者の理解は以下のようだ。一般的にオープンソースの解はオープンであり、柔軟に対応でき、無料(ライセンスの条件に従う限り)で素晴らしい。問題は使い勝手とサポートの欠如だ。確かに、役に立つコミュニティがあって色々と質問することが可能だ。しかし、これを企業のビジネス用に使用するのは、必ずしも容易ではない。そのため、オープンソースの解にはビジネス版が必要なのだ。Cassandraの場合は, Datastax社がビジネス版をサポートともに提供している。

筆者の理解では、AcunuはCassandra の上にAcunu クエリ言語 (AQL)を含む層を乗せて、使い勝手をあげている。オープンソースのため、Cassandraには複数の版が存在するが、Acunu は主なものはサポートしている。更に、Apache コミュニティとも密接に連携をしており、アップデートやアップグレードをCassandraのプロジェクトに提供している。

ダッシュボードとアーキテクチャ

可視化(visualization)はBig Data を処理・理解するのには必須だ。また、Cassandra のデータベースとインタフェースするのにも役立つ。Acunuのアーキテクチャを以下に示す。

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Acunuのアナリティクスのアーキテクチャ (出典: Tim Moretonの NoSQL Now 2013でのプリゼンより)

Acunu のアナリティクスは複数のデータ・ストリームを同時に受け取ることができる。ストリームはHTTP の他、Flume または Stormで処理できる。

Acunuの今後
Tim とDai によると、現在のアナリティクスの機能は基本的なもので、境界を越えた値の検知とかあるデータの加算値を入手することはできる。もっと、複雑なアナリティクスの機能が望まれる。例えば、予測。その様な予測機能があれば、電力系統を安定させて信頼性高く運営できる。

最終コメント
Acunu社のようなベンダーがストリーミング・リアルタイム アナリティクスの製品を提供していることは頼もしい。それぞれのアナリティクスはたくさんの異なったコンポーネントがそれぞれ特異な方法で結合されている。今後この市場はどうなるのだろうか。今のように多くの会社がばらばらに製品を提供するのだろうか。それとも、多くの会社が統廃合されていくのだろうか。現在のアナリティクスの会社はSNSやエンタープライズの市場への適用からスマートグリッドのように新らたな分野へと進出しようとしている。
posted by infogreen at 04:18| Comment(0) | ICTとエネルギー