2015年03月07日

2015年富士通北米技術ホーラム: SDN とIoT、2つの大きな技術傾向 - その1

ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)ともののインターネット(IoT) は現在ホットなトピックだ。最近2015年富士通北米技術ホーラムでこの2つのトピックを同時に議論するパネルに参加した。ちなみに、このコンファレンスは最近オープンしたSF ジャイアントツの新スタジアムのリーバイス・スタジアムで開催された。

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このパネルは「IoTの時代にエンド―ツーエンドのためのSDNと次世代ネットワークインフラストラクチャー」というタイトルで非常に興味深いものだった。

モデレーターとパネリストは次の通り。

モデレーター:

Min He, SDN アーキテクト、 Distinguished Engineer, Fujitsu Network Communication, Inc.

パネリスト:

Motoyoshi Sekiya, ディレクター、 Fujitsu Laboratories of America, Inc.
Guru Parulkar, 共同創始者兼エグゼクティブディレクター, ONRC, Consulting Professor, Stanford University
Bob Lieber, Director, British Telecom

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左から: Min He、Bob Lieber、Motoyoshi SekiyaとGuru Parulkar

以後はパネルの議論のまとめと筆者の私見である。

パネルの最初、He氏はパネルの意図を説明した。

* 如何にIoTが通信インフラストラクチャーに影響を当たるか。
* SDN/NFV がその影響を削減するか。
* 5年後のネットワークインフラストラクチャーはどのようになっているか。

IoT とSDN/NFV に関しては非常に興味深い点がある。Parulkar 教授は冗談めかしてIoT と SDNはそれぞれ大きな技術傾向である。これを2つ合わせると、特大傾向となると発言した。

冗談はさておき、筆者の理解によればどちらの分野もまだ初期の段階である。どの立ち上がり始めた技術のように、ハイプが先行している。マーケティングを担当する人は既存の製品を新しいキーワードのSDNやIoTの様なで売り出す傾向がある。過去にも同様なことは何度もあった。このパネルは現在の技術動向にぴったりだった。参加後この分野はしばらく、落ち着くには時間がかかると思った。

接続された"もの"

British TelecomのLieber氏は 現在既に接続されているもの、また今後接続されるもののリストを提示した。その一部は、冷蔵庫、携帯電話、スマートコンセント、ブルツルースの鍵、タブレット、心臓モニターのインプラント、顔認識機能付きのドアベル、目覚まし、スイッチ、ドライヤー、センサー、自動車、ロボット、スプリンクラー、ルータ、ノート型パソコン、自動販売機、サーモスタット、コーヒーメーカ、信号、洗濯機、ヘルス装置、赤んぼうモニター、スピーカなどだ。

実際、筆者はもっとこのリストに加えることができる。読者もきっとできるだろう。このリストに加えられるものは更に増加すると思われる。2020年までに500億のデバイスがネットに接続されていると予想されている。この値はシスコが最初に言い出した値で、富士通も使用している。 IPv6のお蔭で、全てのデバイスにアドレスを振り分けることができる。

SDN とはなにか、その恩恵は?

Parulkar教授はSDNはネットワークのアプリ、コントロールとインフラを分割すると説明した。このため、次のことが可能となった。

* オープンであり、インフラをプログラム化できることで、イノベーションが期待できる
* 新たなサービスを提供できビジネスチャンス
* 抽象化と論理化による自動化と自律化によるOpexの削減
* アプリ、コントロールとインフラの分離による Capexの削減

こういった恩恵は多くあちこちで指摘されている。1に関していうと、アプリ、コントロールとインフラの分離することで、イノベーションを期待できる。これは、2で指摘されている新しいサービスを開発できるチャンスが増加する。3は言い換えると、柔軟性ということだ。 4では、アプリ、コントロールとインフラの分離のため、安いコモディティの装置を使用することができる。そのため、全体のコストを削減できる。

Lieber氏は同意見だった。SDNはネットワークをスマートにしてネットワークのインフラの最適使用を促す。

SDNへのアプローチ

SDNへのアプローチはどうしたらよいのだろうか。Lieber氏は以下の様なアドバイスを与えた。

* ベンダー毎に異なったアプローチを取っているので、ベンダー特有なものかオープンなプラットフォームかを決める。
* SDNを理解し、それが自分のIoT戦略にどう関連するのか判断する
* SDNを展開しながら QoSを保障する
* 既存の装置がSDNを実現することが可能かを決定する

SDNの現状

関谷氏は 2020年までには接続されたデバイスは500億個になり、その種類は莫大なものになると指摘した。それぞれの種類は異なったQoEを要求するとも述べた。その様な多くの種類の莫大な量のデバイスに対応するのは容易ではない。関谷氏は続けて現在はSDNはデータセンタで展開されているが、現在はWANへの応用が考慮されていると述べた。データセンターと外側のネットワークとはその要求に大きな差がある。自前のデータセンターであれば、全てをコントロールできる。

WANの場合は完全にネットワークをコントロールすることは容易ではない。そのため、ネットワークのトラッフィクのコントロールも困難である。WAN に使用される技術はもっといろいろな種類がある。例えば、有線、無線、オプティカルなどだ。また、ネットワークは階層を考慮すると結構厄介だ。どのように、SDNが複数の層に適用されるのだろうか。1つの層だけで十分なのだろうか。更なる研究が必要だ。

関谷氏はネットワークのトラフィックが大量なため、オプティカル通信が必要となる。そのため、オプティカル通信の仮想化が必要となるとも述べた。

その2に続く
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2015年02月06日

モノのインターネットと組み込みシステム、パート2

パート 1からの続き。

何故今か?
ずっとICT 領域をフォローしていると、新しい市場が立ち上がった時、1社ではなく複数の会社がその市場に殆ど同時に参入することに気が付く。これは、実は簡単に説明がつく。

1. その市場を立ち上げた技術はその技術だけで成り立っておらず。その技術を支える他の技術や手法が一定以下の値段になったり、小型化され、容易に入手できるようになったりすることで以前は採算が合わなかったり技術的に不可能であったことが可能になった。
2. それぞれの分野には複数の専門家が日々に市場や技術の動向を監視しており、#1で状況が変わった場合、あまり時期を離さない段階で新しい技術や製品を展開する。

では、その複数の会社のうちたった数社のみが生き残り、その市場を独占していくのは何故なんだろうかこれに関しては、ここでは述べないが、Geoffrey Moore 氏は複数の本を書いてこの疑問に答えている。

Rezendes 氏は以下がIoT の実現を容易にし始めたと述べた。
* 企業やその他の団体は決定を下さす際データを利用し始めた。
* ネット接続は完全ではないが、かなりの遍在性が達成されている。
* 技術やコンポーネントが進歩してリスクを負うことが少なくなりもっと容易に手に入りやすくなった。
* 現実の世<界での技術や製品の展開とロジカルなコンポーネントとの結合が改善されてきた。

適用分野
では、IoTが適用される分野はなんだろうか。

Rezendes氏は次の分野をあげた。
* 農業
* 商業
* エネルギー
* 産業
* 地方自治体
* その他

この点については、Industrial Internet Consortium (IIC)というコンソーシアムがIndustrial Internet of Things(IIoT)に関して活動している。これも適当な訳がないので、IIoTとしておく。ウエブサイトによれば IICは

「2014年3月に設立され企業や団体に必要な技術をもたらし、ベスト・プラクティスを見極め、収集し、プロモートすることでIndustrial Internetの発展を助長するものである。」

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AT&T、Cisco、GE、 Intelと IBMの各社が中心になって設立したが、以下のバーティカルな分野に特化している。
* エネルギー
* ヘルスケアー
* 製造
* 公共部門
* 交通

チャレンジ
Rezendes氏はチャレンジとそれがどのように組み込みコミュニティ関係するか述べた。

組み込みコミュニティが既にコントロールを持っている分野
* セキュリティ
* 複雑さ

組み込みコミュニティが一部 コントロールを持っている分野
* コスト
* 標準

ビジネスに関してはどうだろうか。残念ながら、コミュニティは限定された影響力しかない
* ビジネス・モデル
* プライバシー

他にもチャレンジを挙げる人々がいる。Dr. Richard Soley, Executive Director, Industrial Internet Consortiumはこの記事(here)の中でチャレンジを述べている。それは、セキュリティ、データ・プライバシー、技術、相互運用性と産業の断片化だ。

EE TimesのRich Quinnell氏は 最近の記事で同様にチャレンジを述べている。それは、1) セキュリティ、 2) 標準、 3) サイロ化の打破、 4) aデータ中心の設計の取り入れ、 5) ハイブリッド型のビジネスモデル、, 6) デバイスの管理、 7) 電力効率、 8) cクラウドと組み込みシステム間の共通開発環境、 9) 人材と専門家の確保、 and 10) dデータの多様性。

このチャレンジの1つ1つはそれぞれ独自のブログが必要となる問題であるので、今後将来のブログで議論する。

Fog/Edge コンピューティング
Rezendes 氏はフォッグ・コンピューティング(fog computing)に関しても述べた。Ciscoによって命名されて edge computingと呼ばれることもある。(ググるとfog computingは254,000ヒット、edge computing は82,400ヒットとなる)。これは対いする興味は増大しており、昨年11月に最初の Fog Computing Conferenceが開催された。

遠隔地にある莫大な数の分散オブジェクトのため、クラウド・コンピューティングに加えて新たなコンピューティングのパラダイムを採用する必要がある。それは、通信遅延、帯域、反応時間とコストを配慮するパラダイムだ。例えば、車両衝突防止装置の場合、データをクラウドに送って、そこで処理され、インストラクションを待つよりもリアル・タイムでローカルで処理する必要がある。

クラウドとフォッグ・コンピューティングは補完関係にあり、フォッグ・コンピューティングはクラウド・コンピューティングに置き換わるものではない。フォッグ・コンピューティングはそれ自体複数のブログが必要なので、ここでは以上触れない。

まとめ
Rezendes氏の1時間の講演はオーバービューのレベルに留まったが、IITへの関心が高まった。また、IICはOMGの一部になっており、以前Object Request Broker (ORB)の開発の際コンタクトがあったDr. Richard Soleyと再び繋がった。

この講演で印象に残ったこと2つだけに限ると:
* IoTはSNSに限ったものでなく、もの(“thing”)は現実の世界での全てのオブジェクトに関する。人も例外ではない。ここに、Industrial Internet of Things (IIT)が存在する。.
* 既に、プラットフォームが確率されているSNSとは違い、現実の世界のオブジェクトにはモニタリング、収集、デジタル化やデータの送信のメカニズムの開発と展開が必要だ。組み込みシステムのコミュニティはこの分野に大きな影響を与えることができる。

今後このサブジェクトに関しては、もっとブログを書くつもりだ。
posted by infogreen at 04:01| Comment(0) | ICTとエネルギー

2015年02月05日

モノのインターネットと組み込みシステム、パート1

言葉の定義にはうるさくない方だが、Internet of Thingsをモノのインターネットと訳するのは頂けない。しかし、適当な訳を思いつかないし、これが主流になるのだろう。しかし、この訳は気に入らないので、このブログではIoTとしておく。もっとも元々の英語の名前も気にくわないが。

言葉の定義にうるさくないついでに言えば、IoTは今までtelematicsM2MSCADAWoT、 Connected Worldや Industrial Internetと呼ばれていたものの新しい呼び名である。また、時として IoTはInternet of Everything (IoE)とも呼ばれる。さすがに、これの日本語訳はなくIoEが使用されているようだ。 現在までは、IoTはSNSに関して述べられことが大部分だった。

最近シリコンバレーで参加したRTECCは組み込みシステムに特化したものだが、 IoTの話題で持ち切りだった。基調講演の1つはof INEX Advisors社のChris Rezendes氏によるものだった。内容はIoTによるビジネスチャンスだった。このブログではこの講演のまとめと筆者のコメントを記す。

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INEX Advisors 社のChris Rezendes氏

ロジカルな世界と現実の世界

Rezendes氏の話には幾つか興味深い点がある。まず第一に組み込みシステムのコミュニティはIoTに対して大きな影響力を持っているということだ。現在のIoTはFacebookやTwitterなどのSNSとそれによって生成されるデータの解析と共に議論されてきた。これは容易に理解でき。それは、SNSのデータがその形式によらず(構造化データおよび非構造化データ)すでにコンピュータで処理できる状態にある。そのため、データはICT技術によって収取し解析が可能である。SNSとそれによって生成されるデータはロジカルな世界に存在しており、我々が存在する現実の世界にはない。そのため、SNSをベースにしたIoTはどのようにしてモニターするか、どのようにしてデータを収集するかよりも入手したデータに重きを置く傾向がある。言い換えれば、モニターすることとデータを収集することは、SNSシステム密に組み込まれている。

これに比較すると、現実の世界はロジカルな世界とは非常に異なる。ロジカルな世界と違って現実の世界でデータを収集するには、ものまたはオブジェクトにセンサーを埋め込み、データをデジタル化し、外の世界に接続しなければならない。それは、容易なことではない。まず、センサーなどのモニターに必要なものを開発する必要があるし、それぞれの特化したバーティカル市場での固有的な専門知識を要する。まず、何を計測するか(専門知識)、例えば温度、圧力、電圧、電流などを知る必要がある。更に必要なセンサーを開発してモニターしたいものに組み入れる必要がある。また、収集したデータをデジタル化する必要もあり、さらにそのデータを外の世界に通信する必要がある。

Rezendes 氏は現実の世界の99.99% のものまたはオブジェクトはネットワークで繋がっていないと言う。ロジカルな世界同様、現実の世界でも運用や管理にデータが大きな影響を及ぼすと言うことに人々は気づき始めた。つまり、センサーを展開すること、収集されたデータをデジタル化すること、そのデータを通信することに多くのビジネスチャンスがあることになる。そして、その市場規模は数兆円規模となるだろう。

ここで、組み込みシステムが適用される。IoTのシステムを実現するには組み込みシステムが必要となる。その開発者は現実の世界ではIoTに対いして大きな影響力を持つことになる。

インターネットによるコンピューティングの進化

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氏の語彙はユニークであるが、そのまま使用する。

Internet (Web) 1.0/2.0: 基本的な接続。 11.8億個のPCsによる $900億円市場、60億個の無線電話
       による $6000億円市場
Internet 3.0 (SMAC: ソーシャル、 モバイル、アナリティクスとクラウド): $3.7兆円規模市場
Internet 4.0: 1兆個のオブジェクト: $10兆から15兆円規模市場

IoT/Internet 4.0(氏の語彙)は莫大な市場チャンスを秘めている。全てのものがIoTの対象になるのだから。これを、Internet of Everything(IoE)と呼ぶこともある。それぞれのオブジェクトにIPアドレスを振り、そのオブジェクトに適した動作を計測、データを収集、そのデータを送信することが必要となる。例えば、ウェアラブルコンピュータは現在注目を浴びているが、身体や精神に問題のある人のために使用することができる。その場合、今注目を浴びているウェアラブルコンピュータとは少し違う文脈になるが。その場合、それぞれの人はIPアドレスを振り当てられたオブジェクトとしてみることができる。

個々のバーティカル市場や個々のオブジェクトはそれぞれ特異な要求や制限があり、単に組み込みシステムを作れば解決すると言った程簡単なことではない。

パート2に続く
posted by infogreen at 10:18| Comment(0) | ICTとエネルギー